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ほてりなどの生理前に起こるPMSの原因・対処法は?役立つ漢方も解説

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
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生理前に「体や顔が熱を帯びているものの、風邪の症状はなく体温も平常」という経験をしたことはありませんか?このような「ほてり」の症状があるといつもの自分でいられず、日常生活に困難を感じることも多いでしょう。今回はほてりの症状を中心に生理前に起こるPMSの原因・対処法について解説します。

生理前に起きやすいPMSの症状とは

PMSとは、premenstrual syndromeの略称で、「月経前症候群」とも言います。生理前3~10日の黄体後期に現れる様々な精神的あるいは身体的症状のことで、生理が始まるとともに軽減あるいは消失するものとされています。日本では生理がある女性の約70〜80%に、生理前に何らかのPMSの症状があると言われています。
PMSの具体的な症状を、身体的な症状と精神的な症状に分けて以下で説明します。

身体的な症状

  • ほてり
  • お腹が張って苦しい
  • 乳房緊満感や腫れ
  • 頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 体重の増加
  • 手足のむくみ

精神的な症状

  • 抑うつ
  • 怒りの爆発
  • 些細なことで不機嫌になる・いらだちを感じる
  • 不安
  • 混乱

生理前にPMSが現れる原因

生理前に発症するPMSの様々な症状に多くの女性が悩まされています。なぜ、生理前にPMSの症状が現れるのでしょうか。その原因はさまざまですが、主に次の2つが考えられます。

  • ホルモンの変動に対する反応
  • 自律神経の乱れ

ホルモンの変動に対する反応

PMSのはっきりとした原因は解明されていませんが、ホルモンバランスの変動とそれに対する反応が原因の1つと考えられているのです。生理はエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という、2つの女性ホルモンの分泌量が変化することによって起こります。従来までは女性ホルモンの分泌量の変化やホルモンバランスが原因と考えられていました。しかし今では、この2つを含む性ホルモンの変動に対する反応という説が有力です。

自律神経の乱れ

自律神経は呼吸や消化、血液循環、体温、排せつなどを調整する神経で、生命活動を維持するために無意識のうちに24時間働いています。生理前は体内のホルモンバランスが大きく揺らぎ、その変化がホルモン分泌と自律神経の調整を担う「視床下部」に影響しやすいといわれています。こうした影響で自律神経の働きが乱れると、体温や発汗のコントロールがうまくいかなくなり、ほてり・のぼせ・寝汗などの不調につながりやすくなります。

ほてりに対する対処法

生理前にほてりの症状が出たら、どのように対処すれば良いのでしょうか。ほてりの応急処置法を3つ紹介します。

涼しい風を顔に当てる

涼しい風を顔に当てると、ほてりや発汗の症状が軽減されます。オフィスワークの方は卓上に簡易的な扇風機を置くと良いでしょう。外出の機会が多い方は、ハンディタイプの小型扇風機がおすすめです。中でもモバイルバッテリータイプのものは、汎用性が高いため便利です。もちろん、扇子やうちわで仰ぐだけでも一定の効果が期待できます。ただし、小型扇風機を顔に当てすぎると、ドライアイの症状が出やすくなるため注意してください。

首周りを冷やす

上半身や頭部にほてりを感じた場合、首回りを冷やすことで症状の改善が期待できます。近年では、保冷剤を入れるポケットがあるネックピローや、冷凍庫で冷やしてそのまま首にかけられるコールドリングが販売されています。仕事や家事をしながらでも冷やせるので、忙しい女性におすすめのアイテムです。

発汗にはツボ押しもおすすめ

ほてりだけでなく、発汗の症状に悩んでいるという方には、その場ですぐできるツボ押しもおすすめです。副交感神経の働きを優位にするツボを押すことで、症状を抑える効果が期待できます。発汗に効果がある手のツボを4つ紹介します。心地よさを感じる程度の力で、ゆっくりと圧をかけ押しましょう。

  • 神門(しんもん)・・・手のひら側の手首のしわ上で、小指側にあるくぼみ
  • 労宮(ろうきゅう)・・・手のひらのちょうど中心部にあるツボ
  • 後谿(こうけい)・・・小指の外側。小指の付け根から、指1本分下にあるツボ
  • 合谷(ごうこく)・・・手の甲の、人差し指と親指の骨が交差する近辺のくぼみ

PMSを改善する方法

ほてりを始めとするPMSの症状は、日常生活を見直すことで改善が期待できます。以下で紹介する4つの方法のいずれか1つでも構わないので、できることから取り組んでいきましょう。

  • 食生活を改善する
  • 軽い運動をする
  • ストレス発散の方法を知る
  • 漢方を取り入れる

食生活を改善する

不規則な食事や栄養の偏った食事は、ホルモンバランスを乱しPMSの症状を悪化させます。特に生理前はホルモンバランスの影響で血糖値が下がり、甘いものや刺激物を欲する傾向にあるので注意が必要です。

軽い運動をする

息がはずまない程度の軽い運動を日常生活に取り入れましょう。ウォーキングなどの有酸素運動や、ヨガやストレッチが効果的です。体をゆっくりと温めることで、代謝や血流が改善します。また、体を動かすことで自律神経が整い、リフレッシュ効果も期待できます。毎日でなくても構わないので、日常生活に負担にならない程度に習慣化していきましょう。

ストレス発散の方法を知る

PMSはストレスによって症状が悪化する可能性があります。生理前はセロトニンと呼ばれる精神を安定させるホルモンが減少するため、情緒不安定になりストレスの影響を受けやすくなるという説が有力です。
ストレスを和らげるためには、しっかりと睡眠をとり、効果的なストレス発散法を知っておくことが大切です。気の合う友人とおいしい食事を摂る、1人で好きな音楽を聴く、ゆっくり半身浴をするなど、どんな方法でも構いません。心地よいと感じる時間を1日数分でも作ることで、ストレスは緩和されます。

漢方を取り入れる

生理や妊娠、出産、産後などに女性ホルモンの変動によって現れる、精神的不安やいらだちなどの精神神経症状、および身体的症状のことを「血の道症」といいます。漢方では血の道症の原因は、体の機能をコントロールする「気」と、体の栄養素である「血」のバランスの変化であると考え、この2つを正常な状態に整えることが大切だと考えられています。

ほてりやPMSに役立つ漢方薬4選

前述したように、血の道症の改善のためには「気」と「血」のバランスを整えることが重要です。血の道症の症状緩和が期待できる漢方薬を紹介します。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)
  • 抑肝散(よくかんさん)

加味逍遙散(かみしょうようさん)

婦人科三大漢方の1つである加味逍遙散は、血の道症にも効能が期待できます。体力中等度以下で、のぼせ感や肩こり、疲れやすさ、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある方に適しています。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は「瘀血」と言われる、血流が何らかの異常で滞っている状態を改善する効果がある漢方薬で婦人科三大漢方薬の1つに選ばれています。比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える方に適しています。

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)

体力中等度以下のものの、血の道症や月経不順、産後の体力低下に効能が期待できる漢方薬です。気と血の巡りを改善し、産後や月経などに起因する婦人特有の気になる症状を良い方向へ導いて行きます。

抑肝散(よくかんさん)

体力が中度以上の、血の道症や更年期障害、神経症によるたかぶり、怒りやすさ、イライラなどを鎮静させる効能が期待できる漢方薬です。小児夜泣きや不眠症の治療にも用いられます。

【まとめ】ほてりなどのPMSの症状は生活の改善や漢方で対処しよう

ほてりなどのPMSの症状は、主にホルモンバランスや自律神経の乱れによって起こります。生活習慣の改善や漢方薬の服用によって、こうした症状の緩和が期待できるため、日常生活に取り入れてみると良いでしょう。PMSの症状には個人差がありますが、自分に合った方法を少しずつ見つけて実践することが大切です。

 


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