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生理前に妊婦みたいにお腹が張る原因は?治し方も解説

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
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生理前にお腹が張って苦しく感じる…という経験はありませんか。生理前のお腹の張りは、PMS(Premenstrual Syndrome/月経前症候群)の一つで、黄体ホルモン(プロゲステロン)が影響している可能性があります。正しく対処することで、お腹の張りを改善できる場合があります。
この記事では、PMSにおけるお腹の張りの原因や治し方について解説します。生理前のお腹の張りで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

生理前に妊婦みたいにお腹が張る原因

生理前に妊婦みたいにお腹が張る原因は2つあります。

  • 腸の機能の低下
  • 子宮の膨張

順に解説します。

腸の機能の低下

生理前には、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で、腸がむくみやすくなると言われています。むくみの症状が出ると、腸の収縮運動が抑制されたり、ガスが溜まりやすくなります。このため、お腹が張ったり便秘気味になる女性が多いようです。

子宮の膨張

子宮が膨張して腸を圧迫することにより、お腹の張りが引き起こされている可能性も考えられます。生理前の期間は妊娠の準備のため、子宮や卵巣が活発に動きます。膨らんだ子宮によって腸が圧迫され、お腹の張りを感じることがあるのです。

生理前にお腹が張るときの対処法

生理前にお腹が張るときの対処法を7つ紹介します。

  • 冷え対策をする
  • 食事を調整する
  • カフェイン・アルコールを控える
  • 喫煙を控える
  • 睡眠をしっかりとる
  • 適度な運動やマッサージをする
  • 漢方薬を取り入れる

自分に合った方法で、生理前のお腹の張りの症状を治しましょう。

冷え対策をする

下半身の冷えや血行不良は、骨盤内の血行を悪化させ、PMSを悪化させる可能性があります。そのため、日頃から下半身を冷やさないよう意識することが肝心です。タイトなジーンズやきつい衣類の着用は血行不良を引き起こすこともあるため、生理前の着用は避けましょう。

食事を調整する

食べ物や飲み物にも注意が必要です。糖分や甘味料は、水分を腸内に溜め込む傾向があるため、摂取量には気を配る必要があります。早食いや大食いも消化不良を引き起こす原因となるので、適切な量をよく噛んで摂るよう心がけましょう。

カリウムを含む食品を摂る

カリウムを摂取することで、体内の過剰な塩分を排出してむくみを解消し、お腹の張りを和らげる効果が期待できます。食品ではバナナやアスパラガス、ホウレンソウ、トマトなどがおすすめです。

乳酸菌を含む食品を摂る

お腹の張りと共に便秘の症状のある方は、乳酸菌を含む食品を積極的に摂取することで解消する可能性があります。乳酸菌を含む食品といえば、ヨーグルトなどの乳製品が思い浮かぶと思います。様々なタイプの乳酸菌配合の食品も販売されていますので、体調に合うものを見つけるとよいでしょう。ただし、乳製品に含まれる乳糖を分解しづらい体質の方は、かえってお腹が張る可能性がありますので注意が必要です。
そこで注目されているのが乳酸菌を含む漬物です。例えば、ぬか漬けやすぐき漬けなどには、野菜由来の植物性乳酸菌が豊富に含まれ、腸内環境を整え便秘解消、免疫力向上などの健康効果が期待できます。また、漬物に含まれるラブレ菌などの植物性乳酸菌は、胃酸にも強く、生きて腸まで届く可能性が高いのが特徴です。

食物繊維を含む食品を急激に摂りすぎない

お腹の張りと共に便秘の症状がある場合、「食物繊維を積極的に摂れば、便秘が改善するのではないか」とお考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、食物繊維の摂りすぎには注意が必要です。
食物繊維の中の「不溶性食物繊維」は過剰摂取すると便のかさが増しスムーズに排出できなくなり、お腹の張りや便秘が悪化する可能性があります。適量であれば排便は促進されますが、過度の摂取は控えるようにしましょう。海藻、オクラなどの水溶性食物繊維と豆類、根菜などの不溶性食物繊維をバランスよくとり、お腹が張っている時は、豆類(ひよこ豆、レンズ豆)、イモ類(さつまいも、じゃがいも)、ごぼう、ブロッコリーなど食物繊維の多い食材の摂取を一時的に控えるとよいでしょう。

タンパク質の摂取し過ぎに注意する

腸内に悪玉菌が増え、ガスが溜まりお腹が張っている可能性もあります。原因の1つに、タンパク質の過剰摂取が考えられます。タンパク質を摂取しすぎると、消化しきれなかったタンパク質が大腸に届き、そこで悪玉菌によって分解(腐敗)され、体に有害な物質を作り出します。これにより腸内環境が悪化し、お腹が張る、おならが臭くなるなどの不調を引き起こす原因となります。タンパク質は体に不可欠な栄養素であるため、摂るのを止めるのではなく、摂取量を見直す、善玉菌のエサとなる野菜、キノコ、海藻類など食物繊維を一緒に摂る、よく噛んで食べるなどを心がけましょう。

発酵しやすい糖質を含む食品を控える

はちみつや牛乳、人工甘味料などの「発酵しやすい糖質」を多く含む食べ物は、大腸の腸内細菌によって分解され、お腹の張りの原因となるガスを発生させます。したがって、生理前に多く摂取するのは控えた方が良いでしょう。

カフェイン・アルコールを控える

生理前にカフェインやアルコールを過剰に摂取すると、お腹が張る原因となることがあります。カフェインは腸の蠕動運動を促進しますが、過剰に摂取すると腸の動きが乱れ、ガスや便が発生しやすくなり、張りを感じることがあります。また、アルコールは胃粘膜を刺激し、炎症を起こしやすくなるほか、胃腸機能の低下や消化管運動の乱れにより膨満感を生むことがあります。そのため、生理前はカフェインやアルコールの摂取量に注意しましょう。

喫煙を控える

喫煙は、血流を悪くしてホルモンバランスに悪影響を与えます。その結果、お腹の張りなどのPMSの症状を悪化させることにもつながります。PMSが気になる人は、喫煙そのものを控えるのがおすすめです。

睡眠をしっかりとる

お腹の張りを予防するためには、十分な睡眠を確保するのも重要です。睡眠中は副交感神経の働きによって大腸の活動が活発化し、腸のバランスが保たれます。睡眠不足は腸の動きを弱め、下痢や便秘、お腹の張りを引き起こす原因となります。お腹の調子を整えるためにも、十分な睡眠を確保しましょう。

適度な運動やマッサージをする

PMSのお腹の張りには、適度な運動が有効です。テニスやゴルフ、ストレッチ、ピラティス、ヨガといった「お腹をひねるような動き」をする運動が推奨されています。これらの動きは、腸の動きを活発にしてお腹の張りを改善します。また、お腹をマッサージすることもおすすめです。マッサージすることで腸が刺激されて動きが活発になり、お腹の張りや便秘の解消が期待できます。

漢方薬を取り入れる

東洋医学では、PMSなど女性ホルモンの変動によって現れる精神的不安などの精神神経症状、および身体的症状のことを「血の道症」といいます。
血の道症は、体の機能をコントロールする「気」と、体の栄養素である「血」、体の水分である「水」のバランスの変化が原因で、この3つを正常な状態に整えることが大切だと考えられています。女性特有の生理前のお腹の張りを含む血の道症の症状緩和に役立つ漢方薬を紹介します。

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、血行不良からくる血の道症や肩こり、打ち身、シミに用いられ、「血」が巡らずに滞っている時に使われる婦人科三大漢方薬の1つです。比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える方に適しています。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散(かみしょうようさん)は、気の巡りの乱れによって現れる心身の不調に着目して用いられている婦人科三大漢方薬の1つです。体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある方に適しています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、古くから婦人特有の腹痛や産前産後の薬として、「気血水」を整えるための女性の常備薬と言われるほど広く用いられている婦人科三大漢方薬の1つです。体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える方に適しています。

生理前以外でもお腹が張る場合は病気の可能性も

生理前以外でもお腹が張る場合は、以下のような婦人科系の病気の可能性も考えられます。

  • 子宮内膜症
  • 子宮腺筋症
  • 子宮筋腫

生理前以外でもお腹が張る場合には、医療機関を受診しましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、通常子宮内に存在するべき組織が、子宮の外側に生じてしまう病気です。代表的な症状は、「痛み」と「不妊」です。お腹の張りや便秘、吐き気、頭痛などの症状が現れることもあります。生理後も痛みが続く場合や腰痛、性交痛、排便痛がある場合には、産婦人科などの医療機関を受診しましょう。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に類似した腺上皮および間質組織が子宮筋層内に発生し、病変部位およびその周囲の子宮筋層が肥厚する疾患です。生理痛、慢性痛、性交痛、排便痛などの痛みの症状のほかに、過多月経、不正性器出血などの症状がみられる場合もあります。医療機関で薬物療法あるいは手術療法で対処する必要があります。

子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋層に良性の腫瘍ができる病気で、30歳以上の女性の20~30%にみられます。大きさやできる場所によって症状が異なりますが、生理痛や生理の出血量が多くなること、出血、腰痛、頻尿が挙げられます。治療が必要ないケースもありますが、大きさによっては薬物療法あるいは手術療法で対処するケースもあります。

生理前以外でもお腹が張る場合は病院へ

妊娠初期や閉経前後にも、お腹の張りに似た症状が現れることがあります。妊娠初期や閉経前後は、女性ホルモンのバランスが急激に変化するため、腸の機能が低下して、お腹が張りやすくなるのです。
しかし、お腹の張りがいつまでも続く場合や痛みを伴う場合には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が潜んでいる可能性も考えられます。また、婦人科系の病気以外にも、重大な病気のサインである可能性もありますので、症状が続く場合や不安がある場合には、自己判断せず医療機関を受診しましょう。

【まとめ】生理前に妊婦みたいにお腹が張るときは自分に合う対処法を実践しよう

生理前のお腹の張りはPMSの一環で、原因は黄体ホルモン(プロゲステロン)によるものと考えられています。ホルモン変動は避けられませんが、生活習慣や食事、体を整える工夫によって負担を軽くすることは可能です。
生理前にお腹が張る原因となるような生活習慣がないかどうかを見直して、楽に過ごせるように工夫してみましょう。それでも改善しない場合は、医療機関を受診してみることも大切です。

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