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ホルモンバランスの変化を基礎体温グラフで解説!

【この記事の監修者】

千田信子(薬剤師・国際中医師)

株式会社自然の薬箱 代表取締役。薬剤師としての長年の経験に加え、国際中医師として東洋医学の知識を活かし、多くの方々の健康をサポートしている。漢方薬や自然療法を取り入れた独自のアプローチで、心と体のバランスを整えることを目指している。現在は、漢方薬局での漢方相談の他、アロマやハーブ・薬膳などの講座、ヨガや気功などのレッスンの開催を通じて多方面で活動中。
【取得資格】
・薬剤師
・国際中医師
・ (公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)認定 アロマセラピスト
・ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター
・AEAJ認定アロマブレンドデザイナー
・yuica認定日本産精油スペシャリスト
・グリーンフラスコ認定J-herbマイスター

※監修者は記事執筆者とは異なります
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女性はホルモンバランスの変化により、心身ともにその影響を大きく受けます。ホルモンは目に見えないため変化が分かりづらいという特徴があります。しかし、基礎体温の計測である程度把握できることをご存じでしょうか。

今回はホルモンバランスと基礎体温の関係について、グラフを用いて説明します。

生理周期とホルモンバランスの関係

基礎体温の解説の前に、基礎体温とかかわりの深い2つの女性ホルモンを紹介します。

  • エストロゲン(卵胞ホルモン)
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)

ホルモンバランスは生理周期で変化する

女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、生理周期によって増減を繰り返しています。エストロゲンは生理開始から排卵までにかけて増加します。対してプロゲステロンは排卵期から生理開始までの間に増えているのが特徴です。
これらが増減することで子宮内膜が厚くなる、ふかふかになるなど身体に変化を及ぼします。そして、妊娠が成立しなかった場合、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちます。これが、生理による出血です。

女性の体調の変化を把握する基礎体温とは

基礎体温のグラフ

基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない安静状態のときの体温で、朝目が覚めた際に起き上がらず、寝たままの状態で舌の下に婦人体温計を入れて、5分間測った体温です。女性ホルモンのバランスが反映されるため、女性の体調の変化を把握するのに役立ちます。妊娠していない女性の基礎体温は高温期と低温期の2つに分けられ、体温の差は0.3℃以上であることが理想的です。基礎体温について

  • 低温期
  • 高温期
  • 基礎体温の正しい測り方
  • 基礎体温計の選び方

の4つに分けて説明します。

低温期

生理がはじまるころからの体温が下がる期間を低温期と言います。卵胞期と言われるエストロゲンが多く分泌される期間です。低温期は排卵が行われていないため、妊娠しにくいのが特徴です。

高温期

排卵してからの体温が高い約12~16日間を高温期といいます。体温の上昇にはプロゲステロンの分泌が影響を与えており、そのため黄体期ともよばれ、排卵後の妊娠しやすい時期です。高温期に妊娠が成立しなければ体温は下がり、低温期がまた始まります。

基礎体温の正しい測り方

基礎体温を正しく測るためには、まず専用の婦人体温計を準備しましょう。婦人体温計は舌下で測り、小数点第二位まで表示されるのが特徴です。測り方の手順は以下の通りです。

  1. 枕元に体温計を置いて就寝する
  2. 起床したら身動きを取らずその体勢のまま、体温計を舌下に入れる
  3. 検温が終わるまで動かず体勢をキープする
  4. 検温後、体温を記録する

基礎体温計の選び方

基礎体温計には、実測式と予測式があり、5分間しっかり測る実測式の方が正確ですが、予測式は20~60秒程度の短い検温時間で5分後の体温を予測するので、計測時間が短く毎日の健康管理には便利です。朝起きてすぐ検温するため、計測時間が長いと再び眠ってしまい、正確な数値が分からなくなることもありますので、ご自分に適した体温計を選びましょう。また、検温後アプリと連動して自動的に数字を記録してくれる体温計も販売されています。データの記録を簡単に行いたい方はぜひチェックしてみてください。

女性の体調の変化を確認できる基礎体温グラフ例

基礎体温を計測することで、女性特有の体の変化や不調を早期に発見できます。基礎体温の変化の例を以下の4つに分けて説明します。

  • 妊娠していないときの基礎体温グラフ
  • 妊娠の可能性がある基礎体温グラフ
  • 不規則な生活を送っている場合の基礎体温グラフ
  • 無排卵月経の可能性がある基礎体温グラフ

妊娠していないときの基礎体温グラフ

妊娠していないときの基礎体温グラフ

妊娠していない、正常な生理周期の女性の基礎体温表は高温期と低温期の2つにしっかり分かれています。高温期がしっかりと2週間前後あれば、低温期が短くても特に問題はありません。実際に低温期は10日程度の人もいれば16日ほど続くケースもあり、個人差があることで知られています。

妊娠の可能性がある基礎体温グラフ

妊娠の可能性がある基礎体温グラフ

妊娠の可能性のある方の基礎体温グラフの特徴は、高温期が長く続くことです。前述したように通常の周期の場合、高温期は約2週間で、その後生理がはじまり低温期に入ります。しかし、妊娠した場合は高温期が持続し、生理も起こりません。

不規則な生活を送っている場合の基礎体温グラフ

不規則な生活を送っている場合の基礎体温グラフ

高温期と低温期が分かれておらず、折れ線がガタガタになっている方はホルモンバランスが乱れている可能性があります。睡眠不足や外食が続いていたり、ストレス過多な生活が続くと、ホルモンの分泌が上手く行われずこのような不規則なグラフになる傾向があります。

無排卵月経の可能性がある基礎体温グラフ

無排卵月経の可能性がある基礎体温グラフ

高温期がなく、ずっと低温期が続いている場合、無排卵月経の可能性があります。無排卵月経とは出血はあるものの排卵が伴っていない状態です。無排卵月経の原因はストレスや生活習慣以外に、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)や無理なダイエット、喫煙などが考えられます。無排卵月経は痛みや自覚症状が特にないので、基礎体温を測ることで初めて自覚するケースが多いのが特徴です。無排卵月経は不妊の原因にもなるので兆候が見られる方は早めに婦人科を受診しましょう。

【まとめ】ホルモンバランスの変化は基礎体温グラフをつけて把握しましょう

ホルモンバランスと基礎体温は密接な関係にあることはおわかりいただけましたでしょうか。基礎体温を測ることで、妊娠や生理周期などの体の変化に気付くことができます。また、ホルモンバランスの乱れや無排卵月経などの症状の早期発見にもつながるので、妊娠しやすい健康な状態のホルモンバランスに整えていくきっかけにもなります。基礎体温をつけることで、今まで以上に自分の体のリズムを理解できるようになるでしょう。

 


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